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コラム

ナイトガード(マウスピース)について

皆さん、「ナイトガード」をご存知でしょうか? ストレス社会と言われる現代、歯ぎしりが自分の歯を傷めてしまう大きな要因となると言われています。今回、自院でナイトガードの製作を行っている『ふるた歯科』の古田 潤二郎 先生にお話を伺ってきました。

まずはナイトガードについて教えてください

ナイトガードとは、歯ぎしりや噛み締めから歯を守るために装着するマウスピースのことです。歯ぎしりなど、歯科医師による診断がつけば保険適応となります。
夜間の歯ぎしりが、すべからく“悪”というわけではありません。人間にとって歯ぎしりはストレスを発散させる役割があり、夜間に歯ぎしりをすることによって脳が休めているのです。歯ぎしりを止めることが“善”ではないわけで、歯や顎関節等に負担がかからないよう保護することが大切なんですね。
人の寿命はどんどん延びていますが、歯の耐用年数がそれに伴い上がったということはありません。寿命が延びた分、歯を長持ちさせるためには、ナイトガードによって歯を保護することが必要なのです。

そもそもなぜ歯ぎしりが強かったり、噛み締めが起こるのでしょうか?

「TCH(Tooth Contacting Habit)」とは、上下の歯の接触癖のことです。元来、リラックスした状態であれば、上下の歯は離れているものなのですが、無意識のうちに噛み締めている人が非常に多いのです。なぜそこまで噛み締めが多いのか。様々な理由はありますが、大きな要因の1つとしてスマートフォンの使用が考えられます。スマホを見る時は、下を見ていますよね。自然、前傾になって頭も下がることにます。頭というのは、ボーリングの球くらいの重さです。その重い頭を持ち上げる動作を繰り返す際、反射的に噛むようになり、大きな負担がかかるということなのです。
頭が下に向いていれば、肩や首の筋肉に負担がかかり、肩こりや頭痛の誘因となってしまうこともあります。当然、歯そのものも磨耗しますし、過剰な力が歯周病やむし歯の進行を促し、歯が割れる、などの結果をもたらすこともあります。
歯と歯が常に接触しないよう、意識することが大切です。舌が上顎に常に触れているイメージですね。問題は夜間です。昼間は意識することでコントロールすることが可能ですが、就寝中はそういうわけにはいきません。寝ている時に壊れてしまわないように。そのためにナイトガードが必要になるのです。

自院でナイトガードを作れるところは珍しいと聞いていますが。

ナイトガードの製作は、まず型を取り、そこに石膏を流して模型を作ることから始まります。その石膏の模型に樹脂を載せてプレスし、出来上がったものの形を整え、仕上げていくのです。通常、加熱してプレスする工程は外注で頼むことが多いのですが、当院ではそれをオートメーションで行える加圧成型器を導入しています。温度管理から何から何まで自動で行える優れもので、工程を大幅に短縮することが可能です。また模型さえあれば、ナイトガードが一定以上磨耗した場合、すぐに作り直すことも可能になります。
ナイトガードは0.6ミリ、1ミリ、1.5ミリ等、厚みが異なります。例えば、男性で噛む力が強く、強くすり減っているような人に最も薄いものを使えば一ヶ月も経たずに壊れてしまいますから、人によって厚みを変えていくんですね。すり減っていくナイトガードを見れば、どれだけ大きな力が加わっているか、一目でわかりますし、その効果を実感し、当院でも多くの方が取り替え取り替えしながら、愛用されています。

ナイトガードの対象となる方はどんな人でしょうか?

歯がしみる、顎が痛い、歯がグラグラする、などの症状を訴えてくる方がナイトガードの対象となります。歯周病を治すにも、細菌のコントロールだけでは不十分なことが多いのです。細菌や炎症のコントロールに加えて、歯に負担をかけすぎないようにする力のコントロールが必要になってきます。
その“力”だけではなく、最近は「胃酸」が大きな問題になっています。逆流性食道炎とは、胃酸が食道まで逆流してしまう疾患ですが、その胃酸で歯が溶けてしまうことがあるんですね。この現象は昨今、非常に増えてきたという印象を持っていますし、ナイトガードはその対策としても有効です。

古田先生からメッセージ

夜間に強い歯ぎしりがある人は、日中も噛み締めているケースが多いのです。その対策の第一歩として有効なのは、意識して上下の歯を合わせないようにすることです。皆さんによくオススメするのが、いろんなところに印をつけておく、ということです。例えばデスクワークをされている方であれば、パソコンや筆記用具などに注意喚起の印をつけておいて、それを見たら奥歯を離す、といったことをしてもらうわけです。日中にそれが出来てくると、今度は夜間の歯ぎしりも減少します。あとはやはり、スマートフォンですね。俗にスマホ首と言われますが、多くの方がストレートネックの状態になっていますので、噛み締めている方が大半なわけです。ですから、スマホを見る時に気をつける、といった意識が重要です。
トレーニングの実が上がっていけば、症状は軽くなっていくでしょう。しかし、それでも歯ぎしりがなくなることはありませんので、サポートとしてナイトガードは有効です。ストレス社会と言われる現代、ナイトガードは必須のアイテムと言っていいでしょう。

古田先生、ありがとうございました!

『ふるた歯科』は、相鉄線「星川駅」から徒歩2分、ホームセンター コーナンの3階にあります。施設には医院と同じ階まで上がれる立体駐車場があり、バリアフリーで医院まで来ることが出来ますので、お車の場合はこちらをご利用ください。
ナイトガードについてご興味のある方、原因のよくわからない歯の痛みやしみに悩んでいる方は、古田先生に相談されてみてはいかがでしょうか。

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